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汚された処女 (1986) Yukio Kitazawa
Internet Archive · pinku-eiga-society·2026-09-17·Yukio Kitazawa

汚された処女 (1986) Yukio Kitazawa

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如果你想改變世界,先從說真話開始。

汚された処女 (1986) Yukio Kitazawa

さて、北沢幸雄監督が1987年に世に放った魔性のピンク映画、その名も『汚された処女』である。タイトルからして昭和の泥臭いドメスティック・ポルノの泥沼を想像させるが、ふたを開ければビリー・ワイルダーの不朽の名作『アパートの鍵貸します』の骨格を、日本の猥雑なアングラ地下水脈へと強引に引きずり込んだ、狂おしくも愛おしい恋愛悲喜劇の傑作であった。まず冒頭、どこかの喧騒に包まれたバーの薄暗い一角から幕が上がる。テーブルの上で気だるげに身をよじる金魚の入ったビニール袋、そして枝豆。向かい合って座るアベックの男、小説家志望の主人公・服部学(嶋田隆文)である。

日本を代表するポルノ小説家の村上春樹か、あるいは東大医学部ルシファーか判別がつかないその絶妙に煮え切らないビジュアル。新人賞に落ち続け、「俺は自分のためにしか小説を書いていない」と虚勢を張る姿は、全モラトリアム男の情けない残骸そのものだ。ここで突如として爆弾が投下される。和子がカメラの向こう、つまりスクリーンを完全に突き破って観客に直接語りかけるのだ。そう、第四の壁の崩壊である。更衣詩子演じる北尾和子が「いまはあきらめてOLやってますけど…まあ聞いてくださいな」と独白を始める瞬間、観客はただの傍観者から、この歪んだメロドラマの目撃者へと引きずり込まれる。

直前まで「第三の壁」と脳内で言い間違えていた自身の愚かさなど、この奔放な演出の奔流の前には塵芥(じんかい)に等しい。そして画面に躍り出るタイトル『汚された処女』。原題のままであることは奇跡だが、ビデオパッケージの裏から無理やり後付けされたようなフォントの安っぽさが、逆にこの作品の持つインディーズの血肉の匂いをいやが上にも高めている。さらに耳を打つのが、エディー・みしば(筋肉少女帯での活躍でも知られる三柴理氏)によるメロウでどこか気だるい劇伴の調べだ。この音色が流れた瞬間、映画館のシートは一気に黄昏時の下町へと変貌する。

オープニングのクレジット処理からして尋常ではない。壁の落書き、紙くず、封筒、そしてトイレに行きつき、トイレットペーパー(主役を演じた嶋田隆太の名前が印字されているが、今思えば緊張するとウンコしたくなる彼のキャラクター設定を踏まえたものだろう)に至るまで、スタッフやキャスト(首頭良子、森康文、後藤均、打田内敬、田島政明、谷津一)の名前が無造作に刻み込まれている。まるでいつか見た「(秘)女郎責め地獄」「ラビットセックス 女子学生集団暴行事件」「R.O.D」を彷彿とさせる。

この手作り感あふれる狂気は、後年の荒木太郎の諸作を嫌でも彷彿とさせるが、それもそのはず、脚本・助監督にはその荒木太郎の名前がしっかりと刻まれているのだ。のちにテレビドラマ「科捜研の女」などを手がけることになる田辺満の血肉もここに注ぎ込まれている。そして極めつきは、鏡に紅のルージュで書き殴られた「監督 飯泉大」の文字。まるで『網走番外地』における石井輝男のクレジットのごとき圧倒的な存在感で、観客の脳裏に焼き付く。物語は一気に加速する。出版社男子トイレの個室。編集長・星(池島ゆたか)と和子の不倫セックスの狂宴である。

黒い下着の上から陰部をまさぐられ、形のいい浅黒いビーチクが飛び出し、観客の代弁者であるかのように欲望の限りを尽くす編集長。個室の外では、主人公の幻影のような社員2人が立ち小便をしながら「最近、痔の具合はどうですか」「どうもこうもありませんよ」と、突如として小津安二郎監督の映画から抜け出してきたかのような棒読みの会話を繰り広げる。この、日常の平板さとトイレの個室で行われる野蛮な愛欲の乖離(かいり)こそが、本作をただのエロ映画から一線を画するアートへと昇華させている。

スーツの下半身だけを裸にした編集長が、背面座位の末にドピュッと中出しをキメ、彼女の黒い下着で股間を拭き取って「フン!」と投げ捨てるその冷徹さ。あまりの非道さに涙する和子の姿は、性の道具として消費される昭和の女性の哀切を極限まで体現している。主人公・学の部屋に戻れば、そこは原稿用紙とティッシュの山。「私ね、小説家になるのあきらめようと思うの」と告げる和子に対し、「自分の好きにすればいいよ」と呟くのみ。ふらりと部屋を出ていく彼女の後ろ姿を見送りながら、学が口にするお決まりのセリフ。「なんて駄目な男なんだ」。

この呪文のような自嘲を、彼は劇中一体何度繰り返すことだろうか。あてどない放浪の果てにたどり着いた出版社で、運命の少女と出会う。事務員・桐島ケイ(秋本ちえみ)。初々しい彼女の姿を見るたび、観客は「ああ、この汚れを知らない清純な娘が、これから星の魔の手によってエプスタインされてしまうのか」という、いびつな保護欲と絶望に似た期待感に胸を焦がすことになる。和子のモノローグが告げる。「彼は緊張するとウンコしたくなる癖がある」。まさにその通り、便所でいきいきと用を足す学の耳に飛び込んでくるのは、またしても社員2人のひそひそ話だ。

「見習いの女の子、まだ処女って噂ですけどね」「信じられませんね」。ウンコをしながらその国家機密を蓄積していく主人公という構図のシュールさは、もはや神がかっている。「残念ながら今回は見送らせてもらうよ」と原稿を突き返す編集長。その傍らで「君の部屋は汚いか」「はい、汚いです」と会話が弾む。編集長は学の部屋の鍵を要求する。「君の小説、悪いようにはしない」。学は自分の部屋の地図を差し出し、裏取引に加担してしまう。ああ、ここで完全にビリー・ワイルダーの『アパートの鍵貸します』の骨格が露わになる。

山本晋也監督の『痴漢との遭遇』などとも通底する、臆面もないピンク映画の美学。雑誌に自分の小説を載せてもらうため、学は愛する編集長に自分の寝床を「ヤリ部屋」として提供するという、究極のギブアンドテイク(実質的な搾取)に身を委ねるのだ。星とケイが学の部屋に足を踏み入れるシーンの気まずさ。「本当にこの部屋かなあ」「お邪魔します。本当に汚い…」と慄くケイに対し、エリートのプライドと孤独がないまぜになった星の弁明が始まる。夜も一人、寂しい夜は君を想ってオナニーをしているのだと告白する星。「一緒にオナニー!

」という常軌を逸した提案に、最初は拒絶しながらも、星のそそり立ったムスコを目の当たりにし、ついに純白のランジェリーを剥ぎ取られて相互オナニー、「オナニーなんて久々だなあ」と一瞬口を滑らせるも、来たるべき処女喪失へと雪崩れ込んでいく。この一連の濃厚すぎる密室劇は、観客の倫理観を優しく、かつ暴力的に踏みにじっていく。その頃、部屋が空くのを待つ間にコインランドリーで時間を潰す学の前に現れるのは、一枚の下着を差し出す謎の女装子。「やめてくださいよ!

」と冷たく逃げ出す学の姿には、まだLGBTQ+などの便利な言葉がなかった時代、今なお消えぬ当時の社会に根強くあったゲイ・ホモに対するナチュラルな差別意識が、生々しい傷跡として刻印されている。部屋に戻ると、あれほどゴミ溜めだった空間が綺麗に片付けられており、原稿用紙には血が滲んでいる。先ほどの処女喪失の残酷な証拠である。しかし、そんな修羅場が繰り広げられたことなど露知らず、学は再び机に向かい、オナニーとティッシュの山を築き上げながら原稿を書き上げる。汗の滲んだその顔には、奇妙な達成感が満ちている。再び出版社。

星の口から語られるのは、学の小説が部内で評判が良いという朗報と、そして「また鍵を貸してくれ」という変わらぬ要求だ。エレベーターの前で「がんばってくださいね」と黄和色のリボンと黒スカートがまぶしいOLファッションのケイに声をかけられ、夜の部屋の外では弁当を片手に「まだやってんのか」と呑気に呟く学。まさか自分の部屋で自分の女(ではないが)が自分の編集長に犯されているとは夢にも思わない。部屋の中ではシックスナインの体勢で「汚いのが好きなんだ」と狂乱する星とケイ。電話ボックスから和子に「今夜ダメ?

」と連絡を入れるも、「同居人(クマのぬいぐるみ)がやきもち焼くから」と冷たくあしらわれる学。「ああ、なんてダメな男なんだ」。路上で大学のサークル仲間の女(彰佳響子)とバッタリ再会し、居酒屋で鍋をつつき、あろうことかその足で向かったトイレの中で「何もこんなところでやらなくったてさ」と言いながらハーフ駅弁をキメる学。黄色い上着を剥ぎ取られ、豊満な乳房をまさぐられながら、窓の外の妖しげなパープルの点滅ライトとサントリーのペンギンのポスターに見守られながら顔射をキメる姿は、もはやどうしようもない色情狂のピカレスク小説の主人公そのものだ。

物語はいよいよクライマックスへ向けて暴走する。星に鍵を渡し、家の前で星とケイが話し込んでいる姿を目撃する学。「なんて駄目な男なんだ」。和子の部屋を訪ね、「帰っちゃ…ダメ」と全裸で求め合い、長嶋一茂ばりの激しいピストンと中出しの果てに全てを受け入れる和子。一方、学の部屋では、星がケイに対して非合意のエイナルセックスを強要し、「ここは僕の部屋じゃないんだ。こんな汚い部屋に住んでるとでも思ったか!バカめ」と冷酷に言い放って去っていくという絶望的な悲劇が起きていた。

朝焼けの散歩道、「俺はなんて駄目な男なんだ」と呟きながら部屋に戻った学が目撃したのは、ガス自殺を図り布団で眠るケイの姿だった。『ライムライト』の残響を思わせるこの悲壮な第一発見劇から、物語は一気に「復讐」へとシフトする。和子のモノローグが伝える。「彼は星を殴ってやると言い出した」。たけし軍団のような金魚のフンを連れず、単身で出版社に殴り込み、星を物理的にボコボコに叩きのめす学。自分のためではなく、はじめて他人のために動いたその衝動の直後、「これで小説もダメかと思うと、急に落ち込んでしまった」というあまりのヘタレっぷりが愛おしすぎる。

自室の原稿用紙に「なんて馬鹿な男なんだ」と綴る学の元には、星の元を離れたケイが転がり込み、ベッドの上で彼の肉体を遊び倒すように愛し始める。顔騎から正常位、そしてバックへと体位を変え、「まだダメって言ったのに…」と彼女の中で果てる学の泥沼の日常。その頃、和子は故郷の親から送られた見合い写真の束を手に、3時の新幹線に乗るべく荷物をまとめていた。「もう一度彼に逢っておきたかった」。キャリーケースを持って学の部屋を訪れた和子を待っていたのは、星の三行半の置手紙を握りしめ、ベッドの前で途方に暮れる学の姿だった。「追いかけないの?」「だめなんだ。

俺はだめな男なんだ」「彼女と俺は合わないんだ…自分のためじゃなく、私のために小説書いてほしいな」和子のモノローグが告げる。「自分の言ったことに思わず顔が赤くなってしまいました」。部屋のドアを閉めて去っていく和子を、最初は黙って見送りながらも、居ても立ってもいられず全力で追いかける学。そして、映画は冒頭のバーへと鮮やかにウロボロスのように回帰する。「俺ちょっと便所行ってくる」の時間軸。便所から戻ってきた学に、和子は愛憎を込めて言い放つ。「ずいぶん長かったわね」「おい今朝のカレー腐ってたんじゃないか?

毎朝残り物ばっかり食わされたらたまったもんじゃないよ」「なに言ってんのよ。稼ぎもないくせに」ラストシーン。満月の夜の舗道。彼との子を妊娠し、お腹の大きくなった和子と、その前をゴミ袋を抱えて歩く主人公。「ねえちょっと待って。これでこの話は終わりです。続きはこの子に聞いてください」「おい、早くしろよ」「いま行く。じゃあね」。ノートに手書きの文字で綴られる「おわり」の二文字。特筆すべきは、出版社ダクションの事務員を演じた秋本ちえみの圧倒的な存在感である。

『アパートの鍵貸します』におけるシャーリー・マクレーンのポジションを完璧に日本のピンク映画の文脈に翻訳し、ほどよく日焼けした浅黒い肌とピュアな笑顔で画面全体を圧倒的な輝きで満たしていた。彼女の魅力だけでもこの映画を見る価値がある。川島雄三監督の『洲崎パラダイス 赤信号』を思わせる、どうしようもないダメ男と、それに腐れ縁でしがみつく女の情念の泥沼。荒木太郎もまた、このようなアングラの世界で己の表現を磨き上げ、やがて確固たる足場を築いていったのだろう。モテのテクニックや人生の要諦のすべてが、このくだらなくも美しい昭和のセルロイドのなかに詰まっている。

「汚された処女」という、あまりにも直截的でキワモノめいたピンク映画のタイトル。このタイトルの裏に、これほどまでにハートウォーミングで、ペーソスに満ちた、ビリー・ワイルダーへの愛と日本の底辺のリアルが交錯する人間讃歌が隠されていることを、当時の観客の中でどれほどの人間が予想できたことだろうか。少なくとも、スクリーンの前で打ちのめされた私には、絶対に無理だった。そして今、この泥沼のような傑作を振り返りながら、私もまた心の中でこう呟かずにはいられないのだ。――ああ、なんて素晴らしい、駄目な映画なんだ、と。

北沢幸雄監督が1987年に世に放った『汚された処女』という映画は、タイトルが告げる生々しいエロスの予感と、幕が上がった瞬間に広がる脱力感と切なさが奇跡的なバランスで同居する、日本ピンク映画史の闇に埋もれておくにはあまりに惜しい迷宮にして傑作である。ビリー・ワイルダーの不朽の名作『アパートの鍵貸します』という黄金の骨格を、昭和末期の猥雑な東京の空気感と、どうしようもない男たちの情けなさにすり替えてスープで煮込んだようなこの作品は、観る者の倫理観を優しく、かつ容赦なく踏みつけていく。物語はどこか煤けたバーの喧騒から幕を開ける。

テーブルの上には、シュールな命の象徴である金魚の入ったビニール袋と居酒屋の定番である枝豆が置かれ、その向かい側には小説家志望の主人公・服部学と、彼の行く末を案じる北尾和子が座っている。学のビジュアルは、ポルノ小説に全力を注ぐ村上春樹か、あるいはネットの片隅で神格化されるルシファーを思わせる冴えない雰囲気を纏っている。新人賞の落選通知などどこ吹く風とばかりにビールを飲み干し、「俺は自分のためにしか小説を書いてない」と言い放つその姿に、和子は愛想を尽かすどころか、突如としてカメラ目線になり観客に向かって身の上話を語り始める。

この、物語の途中で唐突に第四の壁を突破し、観客を共犯関係に引きずり込む演出のなんと大胆なことか。画面に浮かび上がる『汚された処女』というタイトル文字は、後からビデオソフトのパッケージ用に無理やり上書きされたかのような不自然なフォントを纏っており、そのいかがわしさがかえって観客のB級映画センサーをビンビンに刺激する。そして耳に飛び込んでくるのが、筋肉少女帯での活躍でも知られる三柴理(エディー・みしば)によるメロウでどこか気だるい劇伴である。

ピアノとキーボードが紡ぎ出す旋律は、このどうしようもない男女の痴態を、まるでフランス映画のワンシーンであるかのような錯覚に陥らせる。さらに驚かされるのはオープニングのクレジットだ。壁の落書き、無造作に丸められた紙くず、封筒、ティッシュ、そして洗面台の蛇口から流れる水によって消えていく「彰佳響子」の文字。トイレットペーパーに至るまで、あらゆる場所にスタッフやキャストの名前が手書き風に刻み込まれている。

この圧倒的なハンドメイド感と、のちのインディーズ映画やVシネマを先取りしたかのような生々しい手触りは、のちにピンク映画界を牽引する荒木太郎が脚本と助監督に参加している事実を知れば深く納得がいく。極め付きは、鏡に紅のルージュで「監督 飯泉大」とデカデカと書き殴られる演出で、これはまるで石井輝男監督の『網走番外地』におけるあの有名なクレジットのパロディであり、画面の向こうから監督のニヤけた顔が見えてくるようだ。物語は男のセコさと女の業をこれでもかと描き出していく。男子トイレの個室で編集長・星と不倫の快楽に溺れる和子の姿は、冒頭から生々しい。

黒い下着の上から容赦なくマンコをまさぐり、形のいい浅黒い乳房をしゃぶり尽くす編集長。その個室の外では、主人公の影をまとった社員たちが立ち小便をしながら「どうですか今月号の売り上げは」「どうもこうもありませんよ」と、唐突に小津安二郎映画のような乾いた棒読みセリフを交わす。この文学的な気取りと、トイレの個室で行われる野獣のようなピストンの落差こそが、本作の最も狂おしい魅力である。星は行為の果てに中出しをキメると、自らのスーツの上着に隠していた彼女の黒い下着で股間を拭き取り、それを雑巾のように女に投げつける。

性の処理道具として扱われた和子が、その下着で自分の下半身を拭き取る瞬間の、底知れぬ屈辱と諦念に満ちた表情は、お色気映画の枠を超えた生々しい人間ドラマの匂いを放っている。やがて学の部屋へと舞台は移り、物語は本格的に『アパートの鍵貸します』の丸パクリではなく翻案として疾走し始める。自分の小説を雑誌に載せてもらうという邪悪なバーター取引として、学は編集長に自分の汚部屋を「ヤリ部屋」として提供する契約を結んでしまう。その部屋の鍵を渡される事務員・桐島ケイの初々しさはどうだろうか。

これからこの清純な娘が泥沼に引きずり込まれることを知っている観客の胸には、背徳的な快感と罪悪感が入り混じる。部屋を貸すことになった学の日常は、相変わらず「緊張するとウンコしたくなる」という生理現象に支配されている。ウンコをしながら社員たちの「あの娘まだ処女らしいぜ」「信じられないな」という噂話を耳にする滑稽さ。そして星とケイが学の部屋に足を踏み入れた瞬間から、映画は狂宴のステージへと突入する。汚泥のような部屋の惨状を恥じつつも、星は自らの寂しさを武器にケイを追い詰めていく。「夜も一人、寂しい夜は君を想ってオ・ナ・ニー」「オナニー?」「そう!

一緒にオナニー!」という常軌を逸した展開から、二人は画面に向かって両手を広げ、まさかの相互オナニーへとなだれ込む。剥き出しになった純白のランジェリー、そして処女喪失へと雪崩れ込むベッドの上。その裏で、コインランドリーで女装子に言い寄られ、「やめてくださいよ!」と逃げ出す主人公の情けなさが絶妙なスパイスとして効いている。物語の後半、星とケイの関係はさらに歪みを増していく。シックスナインの体勢で「汚いのが好きなんだ、俺のにも舌を入れろ」と命じる星の姿は、サディスティックな欲望の権化そのものだ。

一方の学は、そんな修羅場が自室で行われていることなど露知らず、弁当を片手に「まだやってんのか」と呟く。電話ボックスから和子に言い寄るも「同居人がやきもち焼くから」と冷たくあしらわれ、行き場を失った学は、大学時代のサークル仲間である彰佳響子とバッタリ再会し、なぜか便所のなかでハーフ駅弁の体勢で激しく交わり、顔面に大量の精子をぶっかける。背後の壁にはサントリーのCMのペンギンのポスターが寒そうに佇んでおり、このシュールな映像のチョイスには狂気すら感じる。ついに破滅の時は訪れる。

星はケイに非合意のエイナルセックスを強要し、「ここは僕の部屋じゃない、バカめ」と捨て台詞を残して去っていく。全裸のまま泣き崩れ、朝焼けの散歩道のなかでガス自殺を図ったケイを発見した学は、人生で初めて「自分のためではなく、誰かのため」に立ち上がる。フライデー襲撃事件のこけし軍団のように群れることもなく、たった一人で出版社に殴り込み、編集長を殴り倒す学。その姿は滑稽でありながらも、不思議な輝きを放っている。しかし、この映画の真骨頂は、そんなドラマチックな事件が起きた後も、男のどうしようもなさが微塵も変わらないところにある。

ケイが学の部屋に居つき、激しい交わりを重ねる一方で、和子は実家の親が持ってきた見合い話に揺れ動きながらも、最後にもう一度だけ学のもとへと足を運ぶ。そこで彼女が目撃するのは、またしても別の女に三行半の置手紙を残されて途方に暮れる、どうしようもない学の背中である。「彼女と俺は合わないんだ。せっかく部屋を綺麗にしても、綺麗にしちゃうんだよね」「これからは自分のためじゃなく、私のために小説を書いてほしいな」和子のモノローグ「自分の言ったことに思わず顔が赤くなってしまいました。

これだけ言ってわからなかったら、こいつ本当に・・・」部屋のドアを閉めて去っていく和子を最初は黙っていたがやがて追いかける学。映画は冒頭のバーのシーンへと綺麗に回収される。「俺ちょっと便所行ってくる」と言い残して席を立った場面まで巻き戻る。「おい今朝のカレー腐ってたんじゃないか?毎朝残り物ばっかり食わされたらたまったもんじゃないよ」「なに言ってんのよ。稼ぎもないくせに。私はなんでもないんだから」「君は強いから」「え?

」「いや、なんでもない」「そろそろ行くわよ」「うん」ラストシーン、満月の光る夜道を、妊娠して大きくなった腹を抱えて歩く和子と、その前をゴミ袋を抱えてトボトボと歩く主人公。「ねえちょっと待って。これでこの話は終わりです。続きはこの子に聞いてください」「おい、早くしろよ」「いま行く。じゃあね」ネガティブとポジティブがグロテスクに癒着したこのエンディングは、観る者に温かな余韻を残す。川島雄三監督の『洲崎パラダイス 赤信号』の系譜を継ぐ、ダメ男とそれにしがみつく女の腐れ縁。

荒木太郎をはじめとする当時の映画人たちが持っていた、生理的な生々しさと笑いの才能が、この一本の低予算ピンク映画のなかにこれでもかと詰め込まれている。「汚された処女」という悪趣味なタイトルの裏に隠されていたのは、人間のどうしようもなさを愛おしむための、あまりに情熱的で、あまりにバカバカしい愛の讃歌だったのである。最後に一つだけ、あなたの心に問いかけたい。もしあなたがこの主人公のように、どうしようもないダメ人間として生きざるを得ない運命にあるとしたら、それでも隣にいてくれる「和子」のような存在に、最後に「なんてダメな男なんだ」と笑われる覚悟はありますか?

汚された処女冒頭。どこかのバー。ワイワイガヤガヤしている。テーブルに置かれた、金魚と水の入ったビニール袋と枝豆。向かい合って座るアベック。その片割れ、主人公は小説家志望・服部学。一見するとポルノ小説家の村上春樹か東大医学部のルシファーに似ている。小説の新人賞に応募し続けているが落選し続けているようだ。「ちょっとは心配した顔しなさい。明日結果がわかるんでしょ?」ビールを飲み干しながら「俺は自分のためにしか小説を書いてないよ。

別に雑誌に載る載らないなんて大した問題じゃないさ」「またそんなこと言って」「俺ちょっと便所行ってくる」突然和子、後ろを向き「こんばんは。私、北尾和子って言います。いまはあきらめてOLやってますけど、以前は小説家になろうと努力していました。そんな私が、特に聞かれたという話ではないんですが。まあ聞いてくださいな」いきなり観客に向かって語りかける和子(更衣詩子)。第四の壁を破る(直前まで第三の壁を破ると覚え違えしていた)タイトルが出る。「汚された処女」。

原題のままだが、オリジナルのタイトル写植は失われ、ビデオ会社が明らかに後から上書きしたような後付けのフォントが惜しい。エディー・みしばのメロウな劇伴が流れ始める。「エディー・みしば」とは、日本のピアニスト・キーボーディスト・作曲家である三柴 理(みしば さとし)氏のこと、およびロックバンド筋肉少女帯在籍時からの彼の愛称(通称)。」オープニングからして既に凝っている。壁にチョークで描かれたスタッフクレジット。紙くず、封筒、ティッシュ、洗面台、水が流れて「彰佳響子」の文字が消え、トイレットペーパー、あらゆるところにスタッフとキャストの名前が落書きされている。

このハンドメイド感は後年の荒木太郎監督作品そのものだと思ったら、「脚本 荒木太郎 田辺満」「助監督 荒木太郎」とクレジットされていた。*田辺満とは、「大阪府出身。血液型はB型。 大阪府立摂津高等学校 日活芸術学院卒。 国際放映で助監督を1年経験後、ジャパンホームビデオでアルバイトをしながらシナリオ修行。ピンク映画を皮切りに企業PRや情報番組等の構成を担当。 「世にも奇妙な物語」でテレビドラマに進出し、現在に至る。

」しまいには「監督 飯泉大」と「網走番外地」における「監督 石井輝男」の大きなクレジットのようにバーンとデカデカと鏡に紅のルージュでクレジットされる。出版社。男子トイレの個室。編集長・星(池島ゆたか)と不倫セックスに励む和子北尾和子。黒い下着の上からマンをまさぐられ、やがて形のいいプリっとした浅黒いビーチクとBOOBSが飛び出し、観客の代わりに存分に揉んで吸って見せる編集長。個室の外で社員2人(主人公に似ているがよく見ると違う)が立小便がてら立ち話をしている。「どうですか。今月号の売り上げは?

」「どうもこうもありませんよ」「どうもこうもありませんか」「ええ、どうもこうもありません」ここだけ唐突に小津調の棒読みセリフ。便座に座る編集長は、人の気配に気づき和子の喘ぎ声を口で塞ぎ、これでもかと魔乳冥利に尽きる下から形が変わるほど揉みながら、対面座位の嵐。先ほどの社員2人の会話。「最近、痔の具合はどうですか」「どうもこうもありませんよ」「そうですか。どうもこうもありませんか」「ええ、どうもこうもありませんよ」。トイレの個室。いなくなったのを察知すると、隠す気ゼロで対面座位で激しくもっと激しく。

やがて体位を変え、自らの口に指を入れたかと思えば、女のけつの穴(エイナル)に指を挿入し、そして腰を持ち上げながら、かろうじて身に着けていた衣服をすべて脱がし、自身は下半身のみ裸のスーツ姿のまま背面座位の末にドピュッと中出し。「顔に出すって約束だったじゃない・・」「中に出したら終わりなんだ」行為ののちに、スーツの上着に隠していた彼女の黒い下着で股間を拭き、彼女に強引にぼろ雑巾のようにフン!と差し出す。編集長は個室の外を見まわしながら、誰もいないことを確認しながら去る。あまりの冷徹な扱いに性欲処理道具扱いの境遇に泣く女。

そして黒い下着で自らのマンコを拭き取る。主人公の部屋。和子。散らばったティッシュと原稿用紙の山。「私ね、小説家になるのあきらめようと思うの。私、好きな人できちゃった」和子のモノローグ(小説の地の文風に)「しばし沈黙していた彼は・・」。「「自分の好きにすればいいよ・・・」とだけ私に言った・・・」その場を去っていく和子の姿をふりむきざまに見て主人公は言う「なんて駄目な男なんだ」主人公の口癖。このセリフを何度繰り返したことだろうか。あてどない放浪の末、出版社にたどりつく。原稿の持ち込み。編集長に用があるというと、「お約束ですか。

そのセーター前後ろ前みたいですよ」クスっと笑う事務員(秋本ちえみ)。初々しい。同時にああ、この汚れを知らない清純な娘がこれからズンドコベロンチョされてしまうのかと悲しい気持ちになる。「汚された処女」という題名に惹かれてピンク映画館に足を運んでいながら。和子のモノローグ。「彼は緊張するとウンコしたくなる癖がある」うんこをする主人公。再び社員2人の会話。その社員の片方を主人公と同じ男優が演じている気がするが気のせいか。「見習いの女の子(事務員)なんて言いましたっけね」「桐島ケイさんですか」「あ、そうそう。

彼女まだ処女って噂ですけどね」「信じられませんね」その会話をウンコしながら聞く主人公「残念ながら今回は見送らせてもらうよ。まあガッカリすんな。」「どうぞ」お茶を持ってくる桐島ケイ。「君の部屋は汚いか」「はい、汚いです」編集長に部屋の鍵を貸してくれないかと相談される。和子のモノローグ「星は学()の部屋を貸してくれないかというのだ。何をするのか聞かないでくれ。その代わり・・・」。編集長は言う「君の小説、悪いようにはしない」。部屋の地図を編集長に見せる学。和子のモノローグ「学は何も考えずに部屋を貸すことにした。

この時はその時だけでなく後々になっても『なんて馬鹿な男なんだ』と嘆く結果になった」ああ、ここからは「アパートの鍵貸します」だ。山本晋也監督の「痴漢との遭遇」と同じく、ビリー・ワイルダーの古典「アパートの鍵貸します」の骨格を借りたピンク映画版、臆面もなくパクっている。雑誌に自作の小説を載せることの見返りとして、学は編集長にヤリ部屋を提供する裏契約を結んだ。部屋に着く星とケイ。「本当にこの部屋かなあ」「お邪魔します。本当に汚い・・・あっごめんなさい」「いいんだ。本当のことなんだから」「自分の部屋でしょ?」「改めてみるとやっぱり汚い」「どうしてこんなに汚いの?

」「掃除する人がいないから」「本当に自分の部屋なんですか」「どうしてそんなこと言うんだ。僕だって君にはこの部屋を見せたくなかったよ。社内で1,2を争うエリートの僕がだ。君を愛してしまったからこそ僕の知られたくなかった恥部を君に」「わかりました。ごめんなさい。部長は本当は淋しい人だったんですね」「そうだ。僕には君しかいないんだ。そのティッシュなんでこんなにあるかわかる?」「風邪気味だったんですね。一人で大変だったんでしょう」「違う」「違う?」「僕は一人。夜も一人。一人ぼっちの夜はさびしい。さびしい夜は君を想って、オ」「ナ」「ニー」「オナニー?」「そう!

」二人、画面に向かってお互い手を広げ「一緒にオナニー!」。ケイ「嫌だ、恥ずかしい、私もさびしいとき」「さびしい時?」「あなたを想って・・」「ねえ桐島くん、今ここでしてごらんよ、恥ずかしがることないよ、エリートの僕がだよ」「でも・・・」「じゃあ一緒にしよう」そそり立ったムスコを見せる星。「嫌だ・・・」「これがオナニーだよ!もっとよく見てごらんよ。君もしてごらん。愛してるよ」下着姿に剥かれた純白のランジェリーが眩しいケイ。そして相互オナニーに突入する。それが終わると下着を完全に剥ぎ取り、処女喪失セックスに突入。部屋が空くまで待つ間にコインランドリー。

「何してんの?私の下着欲しいの?いいのよ一枚ぐらい」と主人公を口説く女装子。「やめてくださいよ!」冷たく振り払って走って逃げる主人公。「またフラれちゃった」現代的な観点から言えば、ゲイ・ホモに対するナチュラルな差別意識が問題だ。「なんてダメな男なんだ」部屋に戻ると、あれほど汚かった部屋が整理整頓されていて、机の上に置かれた原稿用紙にはなぜか血が滲んでいる。先ほどの処女喪失の結果なのは確定的に明らかだが、主人公はそんなことがあったとは知らない。

机に向かい、電球ライトの明かりを頼りに、ああでもないこうでもないと原稿を書き進めるが、途中で飽きてオナニー、またも丸められたティッシュの山が床に広がる。やがて原稿を書き上げ、汗が滲んだ彼の顔には確かな手ごたえが見える。再び出版社。星と学。星「君の小説は部内でも評判がよくてね。期待して読ませてもらうよ。ところでまた鍵貸してくれないかな」エレベーター前。学とケイ、ばったり会う。「がんばってくださいね」と声をかけるケイ。黄色いリボン、黒のスカート、ピンクのOLファッションがマブい。入ろうとしたドアが閉まる。夜の部屋の外。

弁当を片手に「まだやってんのか」学は言う。まさか相手が星とケイと知らず。部屋の中。シックスナインの体勢。「嫌だ・・そこ汚い」「汚いのが好きなんだ。俺のにも舌を入れろ。舐めるんだよ」頭の黄色いリボンと浅黒い肌がまぶしい。電話ボックス。和子に電話する学。「今夜ダメ?」「どういうつもり?」「いやそうじゃなくてさ、酒付き合ってくれっていうんだ」「ダメ、同居人がやきもち焼くから」「ダメか・・」「あっ・・」和子の部屋。「おいコラ、同居人」クマのぬいぐるみに問いかける和子和子。「ああ、なんてダメな男なんだ」路上。和子のモノローグ「彼のショックは意外に大きかった。

しかし捨てる神あれば、拾う神ありとはよく言ったもので」大学のサークル仲間の女(彰佳響子)とバッタリ再会。「服部くんじゃない?まだ小説書いてるの、私も書いてるは書いてるけどなかなか売れなくてさ」和子のモノローグ「彼と彼女は大学時代同じサークルにいたというだけの関係性であったが・・・」居酒屋。鍋をつつく。「あの娘どうしてる?服部君と仲よかった」「北尾和子か・・」「そうそう和子」「結婚するんじゃないか?」「どうして親しかったんじゃないの?」「親しくなんかないよ。ただの友人だよ」「へー、ただの友人」「ねえ?今夜ダメ?」「ダメって?

何が」「何がってさあ・・・だから」「だから何だっていうのよ。言ってごらんなさいよ。言ってごらん」サワーを飲む。便所。「何もこんなところでやらなくったてさ。誰か来たらどうするんだよ」便所でヤる二人。イエローの上着を脱がすと豊満な乳房があらわになる。それをひたすら揉みまくる学。窓の外が妖しげなパープルの色で終始点滅している。トイレの窓にもたれながらハーフ駅弁。イキそうだ。「ねえ・・中に出さないで。顔にかけて・・・」「出る・・・」「まだダメ・・・」「出るよ・・・」中出しをキメる根性はなく、顔射。顔に大量にかかった精子。

背後の壁にはサントリーのCMのペンギンのポスターが躍る。出版社。「悪いね。まだ読んでないんだよ。せっかく来たから、また鍵貸してよ」「あのいいですけど、何時ぐらいにいらっしゃいます。」「7時ぐらいに来るよ。次の会議で君の小説プッシュするから」夜7時。家の前。学。奥に星とケイが立ち話。二人の顔は見えない。「私あなたの部屋を綺麗にしてかえって悪いんじゃないかって」「そんなことないさ」。学はいう「なんて駄目な男なんだ」和子の部屋。玄関前。「どうしたの?」「来ちゃダメってことはわかってるんだ。でも話だけでも聞いてくれよ。な?頼むよ」「入って。何見てんの?

」「同居人いないんだ」「ああ、別れちゃった。ビール飲む?」乾杯する二人。和子のモノローグ「このとき彼はすべてのことを話した。そしてその話が終わって・・・」。「ねえ?今夜ダメって聞いてくれないの?ねえ?」「・・・今夜ダメ?」「ダメ」「うん・・・」「帰っちゃ・・・ダメ」ベッドの上。全裸で激しく求めあう二人。唇を重ね合わせ、手は乳房を円盤模様に時計回りにまさぐる。そして長嶋一茂風にグイっと挿入。1秒間100ピストンの果てに中出し(膣内射精)。果てる。学の背中を抱きしめ全てを受け入れる。

再びモノローグ「その時、私は学のような鈍い男もやっと私の気持ちがわかったと思ったんですけど・・・」主人公の部屋。星、ケイ。「さあ、服を脱ぐんだ」どこか気乗りしないケイにもっと色っぽく脱げと命令し、ストリップを強要し、公開オナニーを強要し、雑にサディスティックに扱い始める星。そしてベルトルッチ監督とマーロン・ブランドばりに非合意のエイナルセックスを強要する。そして即イク。赤い薔薇投げ捨て「これで終わりにしようぜ」「どうして新しい部屋を借りて一緒に住もうといったじゃない」「ここは僕の部屋じゃないんだ。こんな汚い部屋に住んでるとでも思ったか!

バカめ」全裸のまま泣き崩れるケイ。夜が明け、朝焼けの散歩道。「ああ、俺はなんて駄目な男なんだ」部屋に戻るとガス自殺未遂のケイ。下着姿のまま布団で寝ている。「ライムライト」のよう。第一発見者。「おい!しっかりしろ!大丈夫?大丈夫か・・」「あなたは・・・?」「この部屋の人間だよ」「あなたがこの部屋の?」「おい!しっかりしろ」和子のモノローグ「彼の発見が早くて助かったケイは、すべてを彼に話した。それを聞いた彼は、ケイの制止を聞かずに、、星を殴ってやると言い出した」。それから出版社に殴り込み。まるでフライデー襲撃事件のように。

ただし、たけし軍団のような金魚のフンを連れずに一人で。星を殴り倒す。モノローグ。「彼は自分のためにではなく、はじめて誰かのために行動した。でもこれで小説もダメかと思うと、急に落ち込んでしまった」主人公の部屋。原稿用紙に「なんて馬鹿な男なんだ」とつづる和子のモノローグ「しかし人生そう悪いことばかりじゃなく、彼に星にはない優しさを感じたケイは、しだいに彼に好意を持つようになり、とうとう彼の部屋に居ついてしまった。だけどどうして私はいつまでこういう男を気にしてなきゃいけないんだろう」学の部屋。ベッドの上。ケイ「ねえ?気持ちいい」学のモノで遊び倒す。

「痛いって・・・」。「私も・・」言いながらすべてを脱ぎ捨ててケイは彼の顔の上にのしかかる。顔騎。体位を変え、そして正常位。そしてバックに。「まだダメ・・・」彼女の中で果てる学「まだダメって言ったのに・・」。和子の部屋。故郷の親に電話をかける。見合い相手の写真。「3時の新幹線に乗るから。じゃあね」荷物をまとめている和子。ヒモで鍵のぶら下がった部屋。和子のモノローグ「私は親の決めた結婚相手とお見合いをする前に、もう一度彼に逢っておきたかった」キャリーケースを持って学の部屋に。入ると学が一人。背中を向けたままベッドの前で途方に暮れている。和子「どうしたの?

彼女は?」。三行半の置手紙を無言で差し出す。それにはこう書かれている「あなたには感謝しています。でも私はあの人を忘れることができません。ごめんなさい。」。学、読み上げる。「追いかけないの?」「だめなんだ。俺はだめな男なんだ」「そんなことないわよ」「彼女と俺は合わないんだ。せっかく部屋を綺麗にしても、綺麗にしちゃうんだよね」「ネクタイなかなか似合うじゃない。小説もう書かないの?雑誌に載る載らないじゃなくて、自分のために書くんじゃなかったの?ずっと小説書いてほしいな。

自分のためじゃなく、私のために」和子のモノローグ「自分の言ったことに思わず顔が赤くなってしまいました。これだけ言ってわからなかったら、こいつ本当に・・・」部屋のドアを閉めて去っていく和子を最初は黙っていたがやがて追いかける学。再び冒頭のバーに戻る。「俺ちょっと便所行ってくる」の時間軸まで映画が巻き戻る。便所から戻ってきた後。「ずいぶん長かったわね」「おい今朝のカレー腐ってたんじゃないか?毎朝残り物ばっかり食わされたらたまったもんじゃないよ」「なに言ってんのよ。稼ぎもないくせに。私はなんでもないんだから」「君は強いから」「え?

」「いや、なんでもない」「そろそろ行くわよ」「うん」ラストシーン。満月が光る夜の舗道。彼との子を妊娠しお腹の大きくなった和子と、その前をゴミ袋とともに行く主人公。「ねえちょっと待って。これでこの話は終わりです。続きはこの子に聞いてください」「おい、早くしろよ」「いま行く。じゃあね」ノートに手書き文字でつづられる「おわり」出版社ダクションの事務員(秋本ちえみ)。それまで個人的には何とも思わなかった、秋本ちえみの魅力がさく裂している。「アパートの鍵貸します」のシャーリー・マクレーンの立ち位置。ほどよく日焼けした浅黒い肌がまぶしい。

「俺はなんてダメな男なんだ」主人公の口癖。このセリフを劇中何度繰り返したことだろうか。その割にはマンコに不自由していない。川島雄三監督の「洲崎パラダイス 赤信号」のようなダメ男とそれでも彼に尽くす女の腐れ縁を描いた。荒木太郎もあの荒木一郎と愉快なオナニーのセガレみたいな、まるでリアルのび太くんみたいなビジュでちゃっかり美人の奥さん(三上紗恵子、淡島小鞠)をもらって、中出しセックスをして二人の子をもうけ、もうどうでもええて・・・モテのテクニックは荒木太郎に学べ。

「汚された処女」といういかにもピンク映画的なタイトルでこのハートウォーミングなストーリーを想像できた方が何人いただろうか。少なくとも俺無理。

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